新卒にだってできることはある!

青年海外協力隊(2017-1)の数学教育隊員としてスリランカへ!

日本人ならば知っておくべきスリランカのこと①

滞在159日目

先輩の帰国報告会のため、コロンボに行っていました。

片道約10時間です。

相変わらずこの移動は嫌になりますね。笑

ただ、帰国報告会は勉強になりましたし、他の隊員ともたくさん話せて楽しい時間が過ごせました。

 

 

では、「日本人ならば知っておくべきスリランカのこと」の1つ目です。

2年間の滞在の内に、これは知っておいてほしいと思うことを見つけ次第、書いていきます。

 

コロンボ滞在中に、同期と一緒にJ.R.ジャヤワルダナセンターに行ってきました。

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日本に関するものが中心に展示されているところもありました。

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J.R.ジャヤワルダナさんは、スリランカの第2代大統領です。

この人です。

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1951年のサンフランシスコ講和会議にて、日本の主権を擁護する演説を行ってくださったようです。

このことを知っている日本人は少ないのではないのでしょうか。

スリランカでは、学校で勉強するようです。

 

J.R.ジャヤワルダナセンターで、いくつか資料を見てきました。

以前Facebookでジャヤワルダナさんについて投稿したことはあったのですが、自分の間違いもあったので、もう一度書いてみます。

 

 

1945年8月14日にポツダム宣言受諾、15日にそのことが国民へと知らされ、日本は第二次世界大戦敗戦国となりました。

 

それから6年後の1951年。

アメリカのサンフランシスコにて、サンフランシスコ講和会議が開かれました。

サンフランシスコ講和会議とは、日本と第二次世界大戦連合国の戦争状態の終結させるための、サンフランシスコ講和条約締結のための会議です。

 

この講和条約締結によって、日本は主権を回復しました。

それまではGHQによる間接統治でした。

 

終戦から6年後の主権回復。

それは早すぎるだろうという国もあったようです。

特に被害を被った国からそういう意見が出てくることは当然ですよね。

 

そんな中、スリランカ(当時はセイロン)のJ.R.ジャヤワルダナ蔵相(後に大統領)は、日本の主権回復を擁護する、つまり講和条約締結を他国に促す演説を行いました。

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演説の内容を英語と日本語訳で見ることができました。

原文も展示されています。

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演説の中から、いくつか引っ張ってきてみます。

(日本語訳はセンターで頂いた資料からほぼ変えずに書いています。訳はこれで正しいのかなという点もあるので、一応英文も載せています。)

 

The main idea that animated the  Asian countries, Ceylon, India and Pakistan, in their attitude to Japan was that Japan should be free

(アジアの国々、セイロン、インド、パキスタンの日本に対する主な考えは、日本は自由な国にすべし、である。)

 

Why is it that the peoples of  Asia are anxious that Japan should be free ? It is because of our age-long connections with her, and because of the high regard the subject peoples of Asia have for Japan when she alone, among the Asian nations, was strong and free and we looked up to her as a guardian and friend. 

(なぜアジアの人々が日本が自由であることを熱望するのか。それは我々は日本と長い年月に渡る関係があるためであり、これらアジアの人たちが日本に対して抱く高い敬意の現れであるからである。日本だけがアジア諸国の中で強力であり、自由であったし、また我々は指導者及び友人として日本を信頼しているからである。)

 

We in Ceylon were fortunate that we were not invaded, but the damage caused by air raids, by the stationing of enormous armies under the South-East Asian Command, and by the slaughter-tapping of one of our main commodities, rubber, when we were the only producers of natural rubberfor the Allies, entitle us to ask that the damage so caused should be repaired. We do not intend to do so, for we believe in the words of the Great Teacher whose message has ennobled the lives of countless millions in Asia, that “hatred ceases not by hatred, but by love.” It is the message of the Buddha, the Great Teacher, the Founder ofBuddhism

(我がセイロンの人々は、幸運にも直接侵略されなかったが、空襲や東南アジア軍団の大量の数の軍隊の駐留による被害や、また連合軍に対する唯一の生ゴム生産者であり、我が国の重要産業品である生ゴムの大量採取による損害は当然賠償されるべきである。しかし、我々はその権利を行使するつもりはない。なぜならアジアで何百万人もの人達の命を価値あるものにさせた大道教師(仏陀「憎しみは憎むことによっては消えず、愛することによってなくなる」の言葉を信ずるからである。

 

which spread a wave of humanism through South Asia, Burma, Laos,Cambodia, Siam, Indonesia and Ceylon and also northwards through the Himalayas into Tibet, China, and finally, Japan, which bound us together for hundreds of years with a common culture and heritage. 

(この仏陀の言葉で、人道主義の波を北アジアビルマラオスカンボジア、秦国、インドネシア及びセイロンに拡げ、また同時に北方へ、ヒマラヤを超えてチベットから中国を経て、最後日本に及んだのである。その波は我々を何百年もの間に渡って、共通の教養と伝統とでもって結びあわせているのである。

 

That is why I cannot subscribe to  the view of the delegate of the Soviet Union when he proposes that the freedom of Japan should be limited. 

ソ連は日本の自由は制限されるべきだと申し入れているが、今述べた理由で私はソ連代表の意見を記名し承諾することはできない。)

 

We extend to Japan a hand of friendship, and trust that with the closing of this chapter in the history of man, the last page of which we write today, and with the beginning of the new one, the first page of which we dictate tomorrow, her people and ours may march together to enjoy the full dignity of human life in peace and prosperity.

(我々は日本に対して友情の手をさしのべ、人類の歴史のこの章を閉じるにあたり、今日書いている最後のページに新しい歴史の始まりに、また明日書く第一ページに日本人と我々が共に手をたづさえて人類の生命の威厳を十分にみたし、平和と繁栄に前進することを祈念するしだいであります。

 

スリランカ(当時セイロン)は、日本は自由な国にすべきであると主張しています。

自分達にも賠償請求権があるとしながらも、仏陀の言葉を用いて、それを使うつもりはないとしています。

この講和会議で、ソ連は条約の修正事項をいくつか提出したようです。

それに対しても、日本の自由を制限するのであればスリランカは反対であるとしています。

 

あと仏教が、アジアの国々の共通の教養となっているという点に感心しました。

同じ仏教を信ずるもの同士、心の底で繋がっているという考え方は、宗教にあまり関心のない私にはありませんでした。

 

講和会議には、日本を含め52ヶ国が参加し、49ヶ国が調印したようです。

ジャヤワルダナさんの演説に心を動かされた国もいたかもしれません。

 

 

このサンフランシスコ講和会議での、J.R,ジャヤワルダナさんの演説を調べると、日本分割案が出てきます。この分割案は、日本を連合国の中心であったソ連、中国、アメリカ、イギリスの4ヶ国で分割統治しようという案です。これが講和会議で提案され、スリランカのジャヤワルダナさんが反対したという内容が書かれているサイトが多くあります。しかし、この分割案は、確かに連合国の会議で案として出たようですが、講和会議ではなく、終戦前に出ていたようです。その後結局無しになり、終戦からサンフランシスコ講和会議まで、GHQによる日本政府を通した間接統治が始まったようです。

確かに講和会議だというのに、日本を4分割しようという案が出ることには違和感を感じますね。

私も以前は、この演説が4分割を防いだなんて思っていましたが、勉強不足でした。

 

まあとにかく、サンフランシスコ講和会議にて、スリランカが日本を擁護してくれた事実は確かです。これは、日本人ならば知っておくべきことであり、感謝するべきことだと思います。

 

平成26年に安倍首相がスリランカに訪れた際にも、この演説について触れ、お礼を言っています。

www.kantei.go.jp

 

今の私に確実に足りないのは、スリランカ人に対する感謝とリスペクトです。笑

もっといいところにも目を向けて、活動していきます! 

 

 

※いろいろ調べてはみましたが、間違えている箇所があるかもしれません。その場合は、ぜひご指摘いただけると有り難いです。

 

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