新卒にだってできることはある!

青年海外協力隊(2017-1)の数学教育隊員としてスリランカへ!

( -1 )×( -1 ) = 1 は回れ右を2回したら元通りになるということ。

滞在508日目

こんにちは!原田です!(@hara_223)

数学ネタです。

(マイナス)×(マイナス)はなぜ(プラス)になるのか。

中学校1年生の教科書では以下のように扱っています。

 (-5) × (+3) = -15

 (-5) × (+2) = -10

 (-5) × (+1) = -5

 (-5) ×   0   =  0

 (-5) × (-1) = 5

 (-5) × (-2) = 10

 (-5) × (-3) = 15

既に学習済みの(マイナス)×(プラス)からかける数を1ずつ減らして、(マイナス)×(マイナス)の答えを予想するというものです。

中学校の段階では、これで十分だと思います。

 

しかし大人になった今、今一度向き合ってみたいと思います。

 

今回は

 (-1) × (-1) = 1 

に複素数を使ってアプローチしていきたいと思います。

複素数とは

分からないことはないけれど、なぜこんな数のことを考えるのか分からなかった高校時代。

今も大して分かっていません。

まだまだ勉強不足、理解を深めていきたいと思います。

 

 

複素数を定義するにあたって、まずは 2 乗すると -1 になる数を考えます。

 

2 乗すると -1 になる数?

そんな数ってあるの?

という方。

 

分かります。

2 乗したら絶対に 0 以上になるはずですよね。

 

しかし、それは実数の範囲で考えているからです。

数の範囲を広げて考える必要があります。

 

 

0 以上の数しか知らない人がいたとします。

その人は

x+1=0  

に違和感を感じるはずです。

 1 を足して 0 になる数なんてないと。

そこで、負の数にまで数の範囲を広げて考えることにしました。

 

 

実数しか知らない人がいたとします。

その人は

x^2+1=0  

に違和感を感じるはずです。

x^2 は必ず0以上になるはずなので。

そこで、数の範囲を広げて考えることにしました。

 

 

x^2+1=0  

x^2=-1  

を満たす数を i と表すことにします。

 

 

今、私たちの数の世界に、 2 乗すると -1 になる不思議な数が追加されました。

 

 

新しい数というものはなかなか受け入れがたいものです。

昔の数学者たちもそうだったみたいです。

 

 

i という不思議な数を受け入れることができたら次です。

 

 

a b を実数として、a+bi の形で表される数を考えます。

この数を、複素数といいます。

 

 

もう一つ押さえておかなければならないことがあります。

b=0 のとき a+bi = a (実数)になります。

 

つまり、複素数の中の b=0 という特別な場合に限って、その数には実数という名前がつけられているということです。

実数は、複素数の一つです。

 

もし、分かりづらかったら図形で考えましょう。

長方形の中の、全ての辺が等しいという特別な場合、その図形には正方形という名前があります。

正方形は、長方形の一つです。

 

ちなみに、複素数の中の b\neq0 という場合、その数には虚数という名前があります。

 

 2 乗すると -1 になる数を考え、その数をi で表す。

 i^2=-1

さらに、a b を実数として、a+bi の形で表される数をを複素数という。

 

複素数を視覚的に捉える。

新たな数が私たちのもとへとやってきました。

数とは目に見えず、触ることもできない何ともやっかいなものです。

数学嫌いな人が多い原因がここにあります。

 

 

数の概念を把握しやすくするためには、数直線で目に見えるようにすることが大事です。

数という目に見えないものを、数直線上の点と対応づけて目に見えるようにするわけです。

代数(数)と幾何(図形)が手をつないで、私たちの理解を手助けしてくれます。

 

 

小学校では、 0 が一番左にあり、そこから右に伸びていく数直線を扱いました。

中学校で新たに負の数を学習するとき、その数直線を左に伸ばし負の数を目で捉えられるようにしました。

 

 

では、複素数はどのように目で捉えられるようにするのか。

右にも左にも伸ばしたので、次は上と下に伸ばしてしまいましょう。笑

x 軸、y 軸をそれぞれ実軸(Re)、虚軸(Im)と置き換えます。

これを複素数平面といいます。 

 

 

例えば、複素数 2+2i は下図のように表すことができます。

 

複素数という目に見えないものが、今目に見えるところにいます。

 

 

 

数と点を対応づけることで、数が目に見えるようになります。

複素数全体の集合(代数)と複素数平面(幾何)が対応しています。

 

複素数を極座標で表す

複素数を、複素数平面の点に対応づけることができました。

今度はこの点の位置の表し方を考えます。

 

 

よく使う点の位置の表し方は (x,y) を使った表し方です。

これを直交座標といいます。

 

しかし、別の表し方も存在します。

原点からの距離(以下動径)と原点からの直線と実軸とのなす角度(以下偏角)の組み合わせで表す方法です。

これを極座標といいます。

 

先ほどの複素数 2+2i を見てみましょう。

 

複素数2+2i 直交座標で表すとx 軸が 2y 軸が 2iなので、

( 2, 2i )

 

極座標で表すと、原点からの距離は 2\sqrt{2} 、実軸となす角度は 45^\circ なので、

( 2\sqrt{2}, 45^\circ )

です。

 

 (x,y) を使った表し方が直交座標、原点からの距離と原点からの直線と実軸とのなす角度の組み合わせで表す方法が極座標

 

 

極座標を使って極形式で表す。

複素数 2+2i と直交座標 ( 2, 2i ) の対応は見やすいですね。

では ( 2\sqrt{2}, 45^\circ ) との対応が見やすい極形式というものを考えます。

これが極形式です!

(かくことができるんだー!と理解してください。笑)

2\sqrt{2}(cos45^\circ+isin45^\circ)

  

 cos45^\circ=\frac{\sqrt{2}}{2} 

 sin45^\circ=\frac{\sqrt{2}}{2} 

ですので、計算するとしっかり2+2i になりますね。

これを極形式といいます。

 

数自体は当然変わっていません。

極座標にしても、極形式にしても、表し方が変わっているだけです。

 

原点からの距離が r、実軸となす角が  \theta、すなわち極座標(r,\theta)で表される複素数は、

 r(cos\theta+isin\theta)

の形で表すことができる。

これを極形式という。

 

複素数の積を考える

ここで(複素数)×(複素数)を考えます。

ここに複素数の神秘があります。

 

 

今回は分かりやすくするために、原点からの距離が 1 である複素数を使います。

原点からの距離が 1、偏角  \theta_1 である複素数  C_1、原点からの距離が 1、偏角  \theta_2 である複素数  C_2 を準備します。

 

 

すると2つの複素数は以下の極形式で表すことができます。

 

  C_1 = cos\theta_1 + isin\theta_1 

  C_2 = cos\theta_2 + isin\theta_2 

 

2つの数の積を計算します。

最後、加法定理を使っています。

分からない方は、そうなるんだと思って見ていてください。

 C_1×C_2

= (cos\theta_1 + isin\theta_1) × (cos\theta_2 + isin\theta_2) 

= cos\theta_1cos\theta_2 + cos\theta_1isin\theta_2 + isin\theta_1cos\theta_2 + isin\theta_1 isin\theta_2

= cos\theta_1cos\theta_2 - sin\theta_1 sin\theta_2 + i(cos\theta_1isin\theta_2+sin\theta_1cos\theta_2)

= cos(\theta_1+\theta_2) + isin( \theta_1+\theta_2)

 

疲れましたね。

積を読み解きましょう。

 

C_1×C_2= cos(\theta_1+\theta_2) + isin( \theta_1+\theta_2)

 

動径は 1、偏角は( \theta_1+\theta_2) ですので、以下の図のようになることが分かります。

 

 

動径が 1 の2つの複素数をかけるということは、偏角を足し合わせればいいということが分かりました。

\theta_1\theta_2 を足して ( \theta_1+\theta_2) の位置に点がくるんですね。

 

動径は 1 のままで偏角のみが変わるということは、原点からの距離が1の円周上をぐるぐる回っているということです。

 

動径が1 であれば、どんな複素数を使って何度かけ算をしても、半径1の円周上をぐるぐるしているようです。

 

 

複素数のかけ算は、複素数平面の点の回転に対応している。

 

 

(-1) × (-1) = 1

 

長々とすみませんでした。

ここまでの話が理解できたら、あとはすんなりいくはずです。

 

 -1 とは、実数です。

実数とは複素数です。

 

つまり、 -1 には複素数のルールも適用されることになります。

 

複素数  -1 を極座標で表してみると、動径が1、偏角が 180^\circ なので、

( 1, 180^\circ )

 

 

複素数  -1 を2回かけます。 

 

複素数のかけ算は偏角を足すんでしたね。

 180^\circ+180^\circ=360^\circ

 

 

積の極座標は

( 1, 360^\circ )

 

 

これに対応するのは、+1 です。

 

 

よって

 (-1) × (-1) = 1 

です。

 

複素数のかけ算は、複素数平面上における点の回転に対応しています。

 -1 を2回かけるということは、回れ右を2回しろということだったんです。

回れ右を2回したら、元通りになりますよね。

 

終わりに

ここまでお疲れ様でした。

複素数の世界から、改めて(ー)×(ー)=(+)に向き合ってみていかがでしたか? 

私はこの考え方を知ったとき、また1つ数学の面白さを知りました。

 

(ー)×(ー)=(+)がすんなりと理解できたこと。

 

に加えて、

 

複素数というものを、代数的な視点から見たり、幾何学的な視点から見たり、そしてそれぞれがしっかり対応している面白さ。

 

きっと今まで気づかなかった数学の面白さがまだまだたくさんあるんだと思います。

 

 

数学は奥が深いですね。

 

 

 

前回の数学記事はこちら。

www.yousukeharada.com

 

 

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