中学3年生でまだ分数!?スリランカの教科書問題にどの角度からメスを入れるか。
(写真のとおり、Grade9(中学校2年生)の教科書は3冊あります。)
滞在375日目
教科書というものは、教師の授業を支え、生徒の学びを支える大切なものです。
最近では、中南米の国に日本の専門家が入り、算数・数学の教科書開発がされていたようです。
それに伴って、中南米では算数・数学の青年海外協力隊が派遣され、現地への教科書の普及と現地教員への教科書の使い方の指導が行われているようです。
日本人専門家の協力による教科書開発は、必ずその国の多くの先生、生徒に良い影響をもたらします。
だから、スリランカにも専門家を入れて早く教科書開発すればいいのにと思ってしまいますが、なかなかそういうわけにはいきませんよね。笑
それではスリランカの教科書の話です。
授業見学をしていると驚くことが多々あります。
中学校3年生で分数をやっていたり、中学校2年生で平行四辺形の面積をやっていたり、「え!!まだそんなとこ!!」と思うのですが、しっかり教科書には書かれています。
小学校5年生で分数の大小の比較、分数の足し算、引き算(分母が同じ、あるいは片方の分数の分母を何倍かすれば分母が揃う場合)、小学校6年生で分数の足し算、引き算(分母が異なる場合)、中学校1年生で分数の掛け算、割り算、中学校2年生でいろんな演算が混ざった場合、中学校3年生で総復習みたいな感じです。
個人的には、分数なんか小学校で終わらせてしまえよと思ってしまいます。
まあ分数に限らず教科書には問題がありそうです。
以前教育省に訪問した際、スリランカの教科書について尋ねられました。
その時は、スリランカの教科書にそれほど目を通していなかったので、大したことを言うことができなかったのですが、スリランカの教科書に対しての意見を求められている、日本の教科書に関心があるということが分かったので、来月の訪問では教科書について何か意見交換ができたらと思っています。
そこで、どういう切り口からスリランカの教科書の問題点を指摘するか、日本の教科書と比較するかというところを最近は考えています。
例えば中学校2年生の教科書の単元は写真のようになっています。
私の感じる問題点は例えば以下のようなものです。
第1節でおうぎ形の弧の長さを扱っています。
そして第6節でおうぎ形の面積を扱っています。
なぜ弧の長さと面積を分けてあるのか、不思議でなりません。
弧の長さにしろ面積にしろ考え方は一緒なので、一緒に学習した方が理解が深まると思います。
このようにある学年の教科書をピックアップして、単元の並び方に着目してみるのは面白そうです。
他に、学年をまたいでどのように単元が設定されているかということ。
同じ学年だが文字や式を扱う分野、図形がメインの分野、関数がメインの分野、資料統計がメインの分野、これらがどのように関わり合っているか、例えば二次方程式(文字や式の分野)をやっていないのに二次関数(関数の分野)を先に学習するのはナンセンスです。
実際現場の先生たちからも、指導しなければならない内容が多すぎるという声を聞きます。
見たところ、これは省いてもいいのではないか、下の学年に持っていけばいいのではないかと思えるものはいくつかあります。
私が教育省の方に意見したところで教科書は変わりません。
というより私の一言で変わってしまったら怖いです。笑
しかし、日本人視点の意見を共有することで、何か考えるきっかけとならないかなと思っています。
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